2017年1月に労働安全コンサルタント・技術士事務所SafeTech神戸を設立しました。
職場の安全・安心についてのコンサルティング・顧問業務・研修、QMS・EMS・OHSMSの認証コンサルティングなどご相談下さい。

2017年4月7日金曜日

箇条の理解 4.組織の状況(3)

 今回は「4.3品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」についての私なりの理解を記述します。
 この箇条は、そんなに難しいことを要求しているわけではありません。
 4.1組織及びその状況、4.2利害関係者のニーズ及び期待を理解し、これらを十分に考慮して次の2つを決定して下さい。

  1. 適用範囲
  2. 製品・サービス
 ここで、2008年版(旧規格)と異なっている点がありますので注意が必要です。
旧規格では、概ね組織が適用除外を宣言することで、例えば請負工事のみを行っている建設会社は、「設計・開発」の箇条要求を適用除外とすることが比較的簡単にできました。新規格では、そうは行かず例えば解説書「ISO9001:2015 要求事項の解説」(日本規格協会)では次のように解説されています。
『例えば、建設業において、施工を請け負っている会社において、建築物の設計は顧客が実施し、施工方法は自社で決めている場合に、施工方法の決定が保証すべき品質に影響を与える場合には、この規格でいう設計・開発に該当する。』(P188)
 すなわち施工計画書・施工要領書・作業手順書なども品質影響があるでしょうから、規格の部分的な適用除外にはできないということです。
 もっと極端にいうならば、建設業の下請工事おいても資機材の調達、人員の配置などを基に工程を算出し、顧客である元請さんに見積書を提出するはずです。これも見方によっては納期や施工品質などへ影響があるわけで、見積書作成も設計・開発に該当すると考えることができます。
 でも考えてみれば、どんな小さな組織であっても元請さんに見積書を出すにあたっては、①担当者が資機材の調達・人員の配置を考え単価を算出②過去の実績や標準単価と見比べる③最終的に社長の決裁を得る、などのプロセスを経ているはずです。こう考えてみると、別に設計・開発プロセスがありますね。詳しくは箇条8.3で。

 なお、この箇条では、品質マネジメントシステムの適用範囲を文書化した情報として利用可能な状態に維持しておく必要があります。

2017年4月3日月曜日

Csumに参加しました。

 以前書いたCsumに参加してきました。
今回は、弁護士さんに来ていただいて「著作権法」のレクチャーを受けました。
安全コンサルタントは、事業場の安全衛生教育や講演を行う機会が多くあります。その際、パワーポイントなどで資料を作成したり、作成資料を配布する場合があります。その制限事項について多くの知見を得ることができました。
 今回得た知見の概要は以下のとおりです。

  • 著作権法の概要
    • 著作権ってなに?
    • その権利の主体は誰?
    • 保護となる対象はなに?
    • 著作権の内容
      • 複製権、上映権、口述権、配布権。。。その他
      • 基本的にはこれらの権利は、著作権者の独占権
    • 独占権の制限(←ここが特に知りたかった事項でした。)
  • 分ったこと
    • 公正な方法で利用する。
    • ちゃんと出所を明示する。
    • 官公庁の広報資料等は基本的にOK
    • 罰則は結構でかいぞ
 てなところでしょうか。何事も勉強、勉強っと。

2017年3月31日金曜日

箇条の理解 4.組織の状況(2)

 今回は「4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解」です。
まず理解しておかなければならないISO語に「利害関係者」があります。JIS Q 9000:2015「品質マネジメントシステムー用語及び基本」(以下、用語および基本といいます。)2.2.4では、次のように定義されています。
 顧客はもとよりある人や集団・企業のニーズ及び期待が満たされないとき、組織の発展・持続性に影響を与える顧客・人・集団・企業などをいいます。

 これらを踏まえて、箇条4.2では、次の4つを要求しています。

  1. 利害関係者は誰か
  2. 利害関係者の要求は何か
  3. 利害関係者・その要求の変化を監視する。
  4. 監視した上記の変化をレビュー(確定)する。
前回は説明しませんでしたがレビューについては、「用語および基本」で次のように定義しています。
 「確かにそうだよね。(適切で妥当だよね。)」と判断すること。

 ここでは「利害関係者の明確化」→「そのニーズ・要求」→「そのニーズ・要求の変化の監視と確定」のプロセスが要求されています。
 組織全体に関わる利害関係者の他、部門それぞれに利害関係者は存在します。またそれぞれの要求事項も存在します。その要求事項は、大きくは北朝鮮問題・トランプリスク、小さくは職場の人間関係などにより必ず変化します。毎年、同じような利害関係者・要求一覧では、確定できるわけがないと言うことです。

 なお前箇条と同様、文書化の要求はありません。しかしながら「変化をちゃんと見るよ・見たよ」が確認できる文書の作成をお勧めします。

2017年3月29日水曜日

箇条の理解 4.組織の状況(1)

今回から難解な要求事項を逐条的に解説します。
まずは「4.1組織及びその状況の理解」です。

 ここでの要求は、「組織の目的・戦略的方向性」に関連し、「QMSの意図した結果」に影響のある以下の4つです。
  1. 外部の課題を明確にする。
  2. 内部の課題を明確にする。
  3. それらの課題を監視する。
  4. それらの課題をレビューする。
早くもISO語がたくさん登場していますが、私なりにこの箇条は、こんなことを要求している考えています。
 組織の目的や方向性は、組織によって様々です。企業であれば当然目的は「利益確保」であり、そのために「シェア◯◯%を目指す。」「今の注文主から継続的に仕事を貰う」とか「独自性のある商品で市場を開拓する。」など戦略的な方向性は様々でしょう。でも利益を世の中から後ろ指を指されるようなことで得てはなりません。そのため、法令など最低限の要求に沿った仕事をするのは当然のこと、客先やユーザーさん・最終製品を使用する人などが安心して使ったり・サービスを受けたり・口に入れたりできるような製品・サービスを生み出す組織活動が求められています。
 そのためにまずは、規制法令やその改正動向・その後ろにある世の中の変化、客先の要求・その内容や嗜好の変化などなど組織活動を取り巻く状況変化、そして、これらの状況変化へ組織が対応できるのか、不足している事柄はなにかなども明らかにしておく必要があります。
 大きな組織では、これらは「経営計画書」などで書かれていることと思います。小さな組織においては、経営者が肌で感じていることでしょう。
 ここでは、ふつうは当たり前のようにやっている組織の活動を『「①課題の明確化」→「②課題の変化を注意深く見る」→「③課題が組織目標・方向性に障害がある、あるいは良い影響があるなどを判断する。」』といったプロセスをQMSは求めているにすぎません。
 なお、この箇条ではプロセス要求はありますが、文書化の要求はありません。

2017年3月27日月曜日

Csumに参加しました。

 3月24日(土)、標記の勉強会に初参加してきました。
 この勉強会は、日本労働安全衛生コンサルタント会兵庫支部の安全コンサルタントの有志が開催している勉強会で、多彩な先輩方のお話をお聴きすることができます。
今回は、大西安全コンサルタント事務所の大西先生より「安全コンサル5年の経緯と安全診断事例」と題してご講演いただきました。機械安全がご専門の先生ですので、聞く事ひとつひとつが私にとって新鮮で大変勉強になりました。
 安全コンサルタントとして活動していく上で機械安全の知識の必要性を強く感じました。まずは手始めにご紹介指定いただいたセーフティーベーシックアセッサ資格の勉強を始めることにしました。基礎知識をほとんど持ち合わせておりませんが、何事も勉強、勉強と。

2017年3月21日火曜日

建設関連の新法

「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が3月16日に施行されました。一般的に注目度が低く、議員立法なんであんまり情報がないですね。
http://law.e-gov.go.jp/announce/H28HO111.html

 この新法のねらいは次の二点のようです。

  • 高齢化が進む建設従事者の就労環境改善
  • 建設業の健全な発展

 具体的に何をやるかというと

  •  国・自治体
    • 方針、基本五年計画の策定
    • 安全確保に十分配慮した工事費・工期を定めた工事契約
    • 下請関係の適正化の推進などの措置建設業者間の連携の推進と建設現場における全ての工事従事者の労災保険関係の把握など
    • 安全性の高い資材・施工方法の開発・普及の促進
    • 建設従事者の安全意識の啓発
  • 建設業者
    • 事業活動における必要な措置
    • 国などの施策への協力
 以上のような内容になっています。建設業法その他関連通達などの枠組みで、請負業者間の契約関係において社会保険加入状況の把握や未加入業者の排除などが規制されてきましたので、従来とあんまり変わらないように見えます。しかしながら、この新法では「全ての建設工事従事者」を対象としていますので、今後策定される基本計画などで一人親方に対する対策が盛り込まれることになると考えられます。
 労基法・安衛法・労災法の枠組みである「使用者・事業者・事業主」と「労働者」の関係に変化はないでしょうが、現場第一線で働く職人さんに如何に社会保険料を含んだ経費を行き渡るようにするのかがポイントとなってくるのでしょうね。

2017年3月18日土曜日

「0.1一般」「附属書A」にすごく大事なことが(2)

 たぶん多くの組織は、このマニュアルを使って仕事をやっていませんよね。きっとISOバブル期のコンサルタントはパターンオーダーのマニュアルや文書・記録を組織に押し付けておけば楽だったんでしょうね。また、審査する側も「適合性」を見る上で、マニュアル記述や文書・記録の有無を確認すれば良かったのではないでしょうか。
 旧規格も世界中の権威者が集まって、あーでもないこーでもないと議論したものですから、それはそれでちゃんとシステム化すれば良いマネジメントができたのでしょう。実態は「認証取得」が先行してしまって、パターンされたシステムを導入した組織にとっては「事業活動と乖離したISO」となってしまう事例がみられる結果となりました。
 今回の規格改定では、このようなことが無いように「0.1一般」で、規格書をなぞるようなマニュアルは要りませんと明記されるに至っています。さらに規格書の附属書A(新たな構造、用語及び概念の明確化)のA.1にも次のようなことが書かれています。

  • 規格書の箇条構造は、組織の文書化のモデルではないです。
  • 組織で従来から用いる文書類が、QMSが要求する文書と関連することもあります。
  • 組織が従来から用いてきた用語をわざわざ規格が定義した用語に置き換える必要はありません。組織で選択して下さいね。
    • 例えば、規格用語の「外部提供者」を「下請業者」「購入先」「パートナー」など何を使っても良いですよ。
 ただ、この規格を適用しようとする組織は、規格要求に抜け漏れがあってはならないので、足りないところは、ちゃんと補う必要があることは言うまでもありません。
 ということで随分、従来の事業活動にQMSが寄り添う形に変化しています。

 以後は箇条4以降を逐条的に紐解いていきます。あれれ、言ってきたこととちゃうやんというツッコミは無しでお願いします。